原価

2008年10月1日 連載

原発の発電原価は5.9円と言われて久しい。これは1990年ごろに9
円とわ言われていたものが他の発電設備が実際にこれよりも低い発電原価
を達成してしまっていたために稼働年数と言う分母を大きくすることで一
番安いという国民向けの宣伝のために無理やり経産省が出した数字である。


さて、過日友人と原子力の発電原価に何を加えるべきなのかと言う事を検
討したことを思い出し再度ウェッブで検索してみた。

http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa413606.html?ans_count_asc=1

とかで、基本的な考え方が分かるし

http://www.pi.hitachi.co.jp/Div/power/moreinfo/s_power/economic/index.html

とかで結構面白い数字が出されてる。燃料費が1.65円と言う数字だが、
実はこれは1994年と言う燃料費が安い時代の数字ではないだろうか?
世界的な原子力ルネッサンスということで一番安い時期の40倍にも高騰
したと報道されていたという記憶がある。 実際に2001年ごろの価格の
10倍にはなっている。

とすると1kwhにつき燃料関連費が1.65円などと言うのは都合の良
い数字でしかないという事になるだろう。多分、この燃料関連部分の費用
はその倍から3倍になっているとみて良いのではないだろうか。

そうするとこの発電原価は3円ぐらいを加えると8.95円程度となるだ
ろう。

http://cnic.jp/files/cost20060612main.pdfも参考になる。

さて、ここでももう2つ指摘しておきたいことがある。ひとつは最近、死
者を出す事故を起こした原子力発電所から消費地までに絶対に必要な送電
鉄塔のコストである。これは、遠隔地に建てた発電所から運ぶためには必
須の設備である。特に原子力の様に大需要地の大都市近郊にはたてられな
い大規模発電所はこれなしでは全く役に立たないという事ではこれは大規
模電源特に原子力や石炭火力のような迷惑設備の場合はそれぞれの発電所
の付帯設備としてコストに加えられるべきものだろう。

運んでこなけりゃ価値がないのだから・・・。

普通製品の原価計算にはこうした遠隔地からの輸送コストもきちんと入れ
て計算するだろう。わざわざ遠隔地に作る必要は無い筈だ。発電端のコス
トなんてものは参考にはなるものの厳しいコスト計算からすればあまり意
味のない数字だ。それを結局、電力の需要家のところへ送りつけてくる請
求書では総括原価計算で誤魔化してきているとみて良いだろう。

これは1Kwhあたり原子力の場合はそれぞれのどこの発電所なのかにも
よるが1Kwhあたりはガスコンバインドサイクルとかと比較する場合は
10倍ぐらい高くついているとみて良いだろう。負荷追従性の高いこの電
源は殆どが大消費地の近くの臨海部に建設運用されている。

因みに50万ボルトの高圧送電線の設置コストは1Kmあたり10億円ほ
どで100Km引けばそれだけで1000億円、東京から柏崎刈羽までな
ら300Kmは必要だろうからそれだけでの3000億円はかかることに
なる。それこそ、発電設備本体よりは安いもののその半部以上の費用が掛っ
ていることになる。これが、近接地に建てる事が出来ればそうした費用は
不要になるので東京湾に建てることをお勧めしたい。 土地がないというの
なら最近海外からやってきて問題にはなっている原子力空母の様に海上移
動式にすれば、地震の影響ももろに受けないだろうし安全性の面から見て
も有利かもしれない。(おっと脱線した)仮に費用としては1.05円加
えておこう。

さらに残る一つは、あの原発にかかわる援助交際費用とみるべき電源開発
促進税である 。現時点では1Kwhにつき37銭5厘程度だったと思うが
電力料金に含まれている。(電気料金の請求書には書いてないけどね)こ
れは原子力の為に作られた特別会計で、設備容量から見ればたった2割程
度の迷惑設備の原発を田舎に押し付けるために無理やり作った税金だ。

これは原子力だからかかる必要経費なのでこれも原子力の費用に加えよう。
とするとこの4倍程度の金額が発電原価にそのまま載ってるとみて良い訳
で1Kwhあたりでは1.5円だ。

これで原子力発電の消費地での単価は11.5円と言う事になる。これは
ベース電源として動かすしかない訳だ。これを現在は夜間電力として販売
する場合は6.5円とかで殆ど発電原価以下でダンピングをしているとい
う事になるわけだ。

「大企業ほど大嘘つき」大人がこれではね・・・。

このダンピング価格でエコキュートとかオール電化契約をさせるとやっと
電力側の都合で電力需要も少しコントロールできるので何とか商売として
つじつまを合わせられるのだ。これは実に危ない綱渡りだ。

それも原発の設備稼働率80%が前提だ。所が柏崎刈羽での停止状態でみ
ると稼働率は話にならないぐらいにガタ落ちで、稼働率はここ1年は0パー
セントだ。補修費だって掛る。まあ、彼らにしてみれば、その費用は最終
的に消費者につけ回しをすれば良いぐらいに考えているのだろう。

でも短期的には全く駄目で、その分石炭火力をどんどん燃やしてしまった
ので燃料費はかかるしCO2排出量は増えるしで踏んだり蹴ったりだった
訳だ。

でも、経営責任が問われることはない。しっかりと、それは国策で面倒を
見てもらえると考えているからだ。そして資源エネ庁などはしっかりと面
倒を見ますと原産大会などで明言して法案を通してきたからで、よもや裏
切ることはない一蓮托生の運命共同体だ。

何しろ 原子力は国策として推進するのだと「原子力立国」と宣言している
のだ。

そして、ピークの為の発電所として揚水発電所を作る。これの発電原価は
稼働率などから計算してみると1Kwh100円を超えるといわれている。
これも実は負荷追従性のない電源である原子力には欠くべからざる設備で
もあるので、この費用も実は原子力の付帯費用に加えるべきだという話す
ら出ているわけだが・・・。

この辺りは発電・送電・配電の3分野に分割して電力を市場を使った効率
的な資源配分の行えるしくみに変えることが出来るなら、原子力がいかに
社会的なコストを考えれば経済性に合わないものかが分かるだろう。

合理的に考えれば原子力のさらなる推進とか新規立地や設備増強などは経
営者なら絶対に避けるべき方針だろう。私が経営者なら絶対にそうする。

ただ、こうした富の収奪装置としてのピラミッド型電力システムが動き続
ける事が人間の社会にとって望ましいことなのかどうかを考えてみるべき
時期なのではないだろうか?

分散型電源を組み合わせていけば現在と同等のサービスを需要家にとどけ
ることは可能だ。リスクヘッジを考えても巨大電源を一ヵ所に集中立地す
ることなど何のメリットもない。むしろ、今回の地震での影響を考えるな
ら大規模電源への資本の傾斜配分ほど危険な経営方針は他にないというこ
とが証明されたようなものだ。

これまでの垂直統合型の社会の在り方から私たちは自然エネルギーなどの
分散型電源を組み合わせて個人がそれぞれに責任を分かち合う仕組みへと
企業すら転換すべき時代を迎えているのだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

【おまけ】

> ===  転送歓迎  ここから====
>
> 「原子力発電に偏重しているエネルギー政策
> の見直しを求めます」という署名をしています。
> 要求には六ヶ所再処理工場閉鎖も含まれています。
>
> 原子力発電に偏重しているエネルギー政策の見直しを求め、
> 100万人オンライン署名が開始されています。
> 署名と署名の拡大にご協力お願いします。
>
> PCからのオンライン署名
> http://www.shomei.tv/project-112.html
>
> 携帯からのオンライン署名
> http://www.shomei.tv/mobile/project.php?pid=112
>
> =======ここまで=======

【以下署名】
-------------------------------------------------------------
自然エネルギーは太陽のエネルギーのフローを人間の文明圏に導入する事
で、云わば農業と同じ第一次産業なんです。

【きれいな電気が汚い電気と同じ値段は、やっぱ、おかしいでしょ・・・】

 『太陽光発電』って?

  それは、個人の屋根の上にあっても牛小屋の屋根にあっても、

 社会のピーク電力供給をささえる屋根の上の クラインガルテン ~

 『風力発電』?って

 それは変動するけど社会のベース電源と認識されるべきもの ~

  で、「市民共同発電所」てのは、市民が直接、お金を出す

       ほんまもんのあるべき「公共事業」なんです。

-------------------------------------------------------------

コメント